排出ガスや燃費など、環境性能の高い自動車(新車・中古車)には、自動車重量税に「エコカー減税」と呼ばれる免税・減税制度が適用できる場合があります。
エコカー減税は車種のほか、車ごとのグレード(ランク)よっても減税率が異なります。
この記事では、エコカー減税の基本や対象となる車、減税率、いつまで適用できるのかなどを分かりやすく解説します。
- 目次
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1.エコカー減税とは? 中古車も基準を満たせば対象に
エコカー減税とは、排出ガス性能や燃費性能に優れた車に対する優遇措置です。
国土交通省が定める環境基準を満たした車を適用期間内に新車新規登録(新規車検)すれば、環境性能の高さに応じて自動車重量税が免税・減税されます。
免税・減税を受けられるのは基本的に新車新規登録(新規車検)時の1回のみですが、車種によっては新規車検の有効期間満了後に受ける初回の継続車検時も免税の対象となります。
また、中古車でも条件を満たす車であれば免税もしくは減税措置が受けられます。
なおエコカー減税はもともと、2023年4月30日までを適用期間とする制度でしたが、減税対象車の燃費基準を段階的に引き上げつつ、2026年4月30日まで延長すると発表されています。
2.エコカー減税の対象になる車と減税率の一覧
エコカー減税の対象乗用車は、CEV(クリーンエネルギービークル)と呼ばれる電気自動車(BEV)、燃料電池自動車(FCV)、天然ガス自動車(NGV)、プラグインハイブリッド車(PHEV/PHV)です。
ほか、環境性能に優れたガソリン車やLPG車、クリーンディーゼル車も対象となります。主な一例は以下のとおりです。
それぞれの免税・減税の内容は以下のとおりです。
2024年1月1日~2025年4月30日に新車新規登録(初回車検)を行う場合
対象・要件等 | 特例措置の内容 | |||
---|---|---|---|---|
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免税 ※初回継続車検時も対象 |
|||
2030年度燃費基準 | ||||
70% | 80% | 90% | 120% | |
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25%軽減 | 50%軽減 | 免税 | 免税 ※初回継続車検時も対象 |
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適用期間:2025年5月1日~2026年4月30日に新車新規登録(初回車検)を行う場合
対象・要件等 | 特例措置の内容 | |||
---|---|---|---|---|
|
免税 ※初回継続車検時も対象 |
|||
2030年度燃費基準 | ||||
80% | 90% | 100% | 125% | |
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25%軽減 | 50%軽減 | 免税 | 免税 ※初回継続車検時も対象 |
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なお中古車であっても、以下の条件で初回の継続検査等を行う場合は免税となります。
2023年5月1日〜2025年4月30日にガソリン車・LPG車(ハイブリッド車含む)の中古車新規登録等を行う場合
2024年1月1日〜2025年4月30日にクリーンディーゼル車(ハイブリッド車含む)の中古車新規登録等を行う場合
2025年5月1日〜2026年4月30日にガソリン車・LPG車・クリーンディーゼル車(ハイブリッド車)の中古車新規登録等を行う場合
3.エコカー減税でいくらおトクに?自動車重量税の一覧表
自動車重量税は車の重量にかかる税金で、新規登録の際や車検の際に車の区分や重量、経過年数に応じて課税されます。
ではエコカー減税が適用される場合、実際に支払う自動車重量税はいくらになるのでしょうか? 一覧で紹介します。
2023年5月1日からの自動車重量税(乗用車、3年自家用、新車新規登録等時)
車両重量 | エコカー減税適用なし | エコカー (本則税率) |
エコカー減税適用 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
免税 | 75%減 | 50%減 | 25%減 | ||||
軽自動車 | 9,900円 | 0円 | 1,800円 | 3,700円 | 5,600円 | ||
自家用乗用車 | 0.5t以下 | 12,300円 | 7,500円 | 0円 | - | 3,700円 | 5,600円 |
〜1.0t以下 | 24,600円 | 15,000円 | 0円 | - | 7,500円 | 11,200円 | |
~1.5t以下 | 36.900円 | 22,500円 | 0円 | - | 11,200円 | 16,800円 | |
〜2.0t以下 | 49,200円 | 30,000円 | 0円 | - | 15,000円 | 22,500円 | |
~2.5t以下 | 61,500円 | 37,500円 | 0円 | - | 18,700円 | 28,100円 | |
〜3.0t以下 | 73,800円 | 40,000円 | 0円 | - | 22,500円 | 33,700円 |
2023年5月1日からの自動車重量税(乗用車、2年自家用、継続検査時)
車両重量 | エコカー (本則税率) |
エコカー減税適用なし | エコカー減税適用 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
13年未満 | 13年経過 | 18年経過 | 免税 | |||
軽自動車 | - | 6,600円 | 8,200円 | 8,800円 | 0円 | |
自家用乗用車 | 0.5t以下 | 5,000円 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 | 0円 |
〜1.0t以下 | 10,000円 | 16,400円 | 22,800円 | 25,200円 | 0円 | |
~1.5t以下 | 15,000円 | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 | 0円 | |
〜2.0t以下 | 20,000円 | 32,800円 | 45,600円 | 50,400円 | 0円 | |
~2.5t以下 | 25,000円 | 41,000円 | 57,000円 | 63,000円 | 0円 | |
〜3.0t以下 | 30,000円 | 49,200円 | 68,400円 | 75,600円 | 0円 |
※2025/4/7時点
- 出典
- 令和5年度税制改正に伴う自動車重量税の税額の基本的な考え方(フローチャート) その1(国土交通省)
令和5年度税制改正に伴う自動車重量税の税額の基本的な考え方(フローチャート) その5(JAMA 一般社団法人日本自動車工業会)
4.グリーン化特例、環境性能割との違い
エコカー減税と似た制度に「グリーン化特例」「環境性能割」があります。その違いを解説します。
グリーン化特例との違い
エコカー減税は「自動車重量税に対する優遇措置」ですが、グリーン化特例は「自動車税(種別割)に関わる税制」です。
適用期間(〜2026年3月31日)中に電気自動車やハイブリッド車など環境性能が高い車を新車登録した場合、翌年度の税額が最大75%減税されます。一定年数経過後は、税率が上がります。
環境性能割との違い
環境性能割(旧・自動車取得税)は50万円以上の車を購入・譲渡した場合に、自動車の燃費性能等に応じて課税されます。
税額は「車両取得価格×環境性能割の税率」で算出。車両取得価格は、以下の通り新車か中古車かによって変わります。
- 新車の車両取得価額:課税標準基準額(価格の約9割)+カーナビなどのオプション装備
- 中古車の車両取得価額:課税標準基準額(価格の約9割)+残価率(※)
※車両の最初の所有者が登録した年(=初度登録年)からの経過年数に応じた掛け率(残価率一覧)。普通車か軽自動車かによっても異なる
5.節税のためにエコカーを購入する際のポイント
エコカー選びで重視したいポイントは「小型・新型・小排気量」の3つ。新しく小さな車ほど環境性能や燃費性能が高く、エコカー減税のほか、グリーン化特例も優遇される傾向にあります。
エコカー減税のメリットをより多く受けるなら、電気自動車やプラグインハイブリッド車などのCEVを購入するのがもっともおトクです。
ただし、自宅や周辺に充電設備があるかどうかで使い勝手が大きく変わるほか、補助金を活用しても車両価格が高くなりがちです。
その点、万能なのはハイブリッドカー。特にコンパクトハイブリッドカーは車種が豊富で燃費性能も高く、車両価格と減税率のバランスがもっとも優れた車だと言えます。
6.監修コメント
エコカー減税の考え方はとても難しく感じますが、基本的には「燃費が良く、環境性能の高いハイブリッドやEVを選ぶ」ことで適用されます。自動車関連税制は、例年12月に政府が公表する「税制改正大綱」で述べられる可能性が高いので、注目しましょう。