最終更新日:2026/7/22

防火構造とは?耐火構造との違いは何?メリット・デメリットとともに解説

火災保険の見積りやお申込みの際に「T構造」「H構造」といった構造区分の入力が必要になり、「自宅はどれに当てはまるのだろう」と迷った経験がある方もいるかもしれません。

火災が発生したときに周囲への延焼を抑えられるように、住宅などの建物に採用される構造や材料は法律で定められています。防火性能の基準により建物の構造はいくつかに分類されていますが、その1つが防火構造です。構造区分の申告を誤ると、適切な保険料にならなかったり、万一の際にスムーズに保険金を受け取れなかったりする可能性があるため、正しく把握しておく必要があります。

本記事では、防火構造と耐火構造の違いを整理したうえで、構造区分の判定基準や保険料への影響、ご自身のお住まいの構造を確認する方法まで詳しく解説します。

「防火構造」と「耐火構造」の違いとは?

建物の防火性能を表す基準として、建築基準法では「防火構造」「耐火構造」といった区分が設けられています。これらは「火災から何を守るか」という目的に違いがあります。

防火性能と火災保険上の区分

防火構造は、隣の家などで起きた火災が自分の建物に「もらい火」として燃え移るのを防ぐための構造です。対して耐火構造は「建物の内外で発生する火災」から建物そのものの倒壊を防ぎ、安全に避難や消火ができることを目指す構造です。

防火性能の高い順に並べると「耐火構造 > 準耐火構造 > 防火構造」となり、それぞれ求められる耐火時間や対象部位、性能の基準が異なります。以下で、それぞれの構造の特徴を詳しく見ていきましょう。

防火構造=「もらい火」を防ぐ構造

防火構造とは、建築基準法に定められた防火性能の基準の1つで、建物の周囲で起きた火災による「もらい火(延焼)」を防ぐための構造です。具体的には、建物の外壁と軒裏に30分間の防火性能を持たせることが求められます。

防火構造で求められる性能は、以下の2つです。

  • 非損傷性:30分間の加熱を受けても外壁や軒裏が構造上の支障をきたすほど変形・破壊しないこと

  • 遮熱性:外壁の屋外側が炎にさらされても、屋内側の面が発火するほどの温度まで上昇しないこと

防火構造の要件を満たすには、国土交通大臣が定めた構造方法、または国土交通大臣の認定を受けた仕様で施工しなければなりません。木造住宅の場合、たとえば屋外側を鉄網モルタルで塗り、屋内側を石膏ボード張りとする方法や、壁の内部にグラスウールなどの不燃材料を充てんしたうえに合板を張る方法などが認められています。

耐火構造=建物の倒壊を防ぐ構造

耐火構造は、防火構造よりも厳しい基準が設けられた構造で、建物の内外で発生する火災から建物の倒壊を防ぎ、安全な避難や消火活動を助けることを目的としています。防火構造が外壁と軒裏のみを対象としているのに対し、耐火構造では外壁や屋根に加えて、柱、梁(はり)、耐力壁、床など建物の主要構造部にも一定の耐火性能が必要です。

耐火構造で求められる性能は、以下の3つです。

  • 非損傷性:建物の階数などの条件に応じて最長3時間、火災が鎮火するまで倒壊しないこと

  • 遮熱性:最長1時間、加熱面の反対側の面が発火するほどの温度まで上昇しないこと

  • 遮炎性:最長1時間、建物内で火災が発生しても、屋外に火炎を出すほどの損傷を生じさせないこと

耐火構造は防火構造と同じく国土交通大臣の認める仕様が定められており、不燃材料を用いた鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄骨造の両面を耐火被覆したものなどがあります。近年は木造でも耐火構造の認定を受けられる施工技術が開発されており、適用の幅が広がっています。

なお、耐火構造と防火構造の中間に位置するのが「準耐火構造」です。準耐火構造は、耐火構造と同様に柱や梁、壁、床といった主要構造部が対象となりますが、求められる耐火時間は45分〜1時間程度と耐火構造よりは短く設定されています。木造住宅でも一定の耐火被覆を施すことで準耐火構造とすることが可能なため、一戸建てでは比較的採用しやすい構造です。

火災保険料は構造で決まる!「M・T・H構造」の判定基準

火災保険の保険料は、建物の構造によって大きく変わります。ここでは、保険料を左右する「構造級別」の仕組みと判定の考え方を解説します。

火災保険の構造級別(M構造・T構造・H構造)とは?

火災保険を申し込む際に必ず確認されるのが、建物の「構造級別」です。構造級別とは、建物の柱や外壁などに使われている材質や耐火性能をもとに、「建物の燃えやすさ」のリスクを分類した区分のことです。

構造級別は以下の3つに分かれています。

構造級別 該当する建物の例
M構造(マンション構造)
  • コンクリート造の共同住宅

  • 耐火建築物の共同住宅

T構造(耐火構造)
  • コンクリート造・鉄骨造の一戸建て

  • 耐火建築物の一戸建て

  • 準耐火建築物

  • 省令準耐火建物

H構造(非耐火構造) M構造・T構造のいずれにも該当しない建物(一般的な木造一戸建てなど)
左右にスワイプすることで、表が見られます

たとえば、コンクリート造のように燃えにくい建物と、木造のように燃えやすい建物では火災時の損害リスクが異なるため、この区分に応じて火災保険の保険料が変わる仕組みになっています。

防火構造・耐火構造・省令準耐火構造はそれぞれどれに当てはまる?

ご自身のお住まいがどの構造級別に当てはまるかは、以下のように区分できます。

  • 「耐火建築物」に該当する場合:一戸建てなら「T構造」、共同住宅なら「M構造」

  • 「準耐火建築物」または「省令準耐火建物」に該当する場合:一戸建て・共同住宅を問わず、すべて「T構造」

  • 上記の厳しい耐火基準に該当しない場合(防火構造の木造一戸建てなど):一戸建て・共同住宅を問わず、すべて「H構造」

なお、省令準耐火建物とは、建築基準法ではなく住宅金融支援機構が独自に定めた基準を満たした耐火性を持つ建物のことです。フラット35を利用する場合、省令準耐火構造の仕様を任意で採用できます。ただし、フラット35を利用したからといって自動的に省令準耐火構造になるわけではないため、個別に施工会社やハウスメーカーへの確認が必要です。

構造の違いによる保険料への影響

保険料は、M構造、T構造、H構造の順に高くなる傾向があります。同じ補償内容・保険金額であっても、構造級別が異なるだけで保険料に大きな差が出ることがあるため、自分の建物がどの区分に当てはまるかを正しく把握しておくことが大切です。

とくに一戸建ての木造住宅の場合、「木造=H構造」と思い込みがちですが、耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建物に該当していればT構造が適用され、保険料を抑えられる可能性があります。木造住宅の建築やリフォームを検討する際には、省令準耐火構造に対応しているかを施工会社に確認してみるとよいでしょう。

ご自身のお住まいの「構造」を確認する方法

火災保険の申込み時には建物の構造を正確に申告する必要がありますが、ご自身のお住まいがどの構造に当てはまるか分からず悩む方も少なくありません。ここでは、建物の構造を確認するための具体的な方法を紹介します。

「建築確認申請書」や「設計図面」で確認する

建物の構造を確認する際に、まず手元で確認したいのが「建築確認申請書」です。建築確認申請書は、建物の建築工事に着手する前に、建築基準法などの法令に適合しているかを確認するために提出される書類で、一般的には建物の引渡し時に受取ります。

チェックすべきポイントは、建築確認申請書の「第四面」です。

建築確認申請書の「第四面」

まず「2. 用途」の欄で、建物が共同住宅か一戸建てかを確認します。次に「4. 構造」の欄で、建物の主要構造部の材質(鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造など)を確認しましょう。そのうえで「5. 主要構造部(耐火建築物等)」の欄に「耐火建築物」「準耐火建築物」などの記載やチェックがあるかを確認します。これらの情報を組み合わせることで、自分の建物がM構造・T構造・H構造のどれに該当するかを判断できます。

ただし、省令準耐火建物については、建築確認申請書では確認できません。設計仕様書に記載がないか、確認してみましょう。

ハウスメーカーや施工会社に問い合わせる

建築確認申請書や設計図面が手元にない場合や、書類の記載内容だけでは判断がつかない場合は、建物を施工したハウスメーカーや工務店に直接問い合わせるのが確実です。

中古住宅を購入した場合や施工会社が分からない場合は、不動産会社の担当者や管理会社に相談してみましょう。

建築予定地が防火・準防火地域だったら?知っておきたい構造制限

建築予定地が防火・準防火地域だったら?知っておきたい構造制限

マイホームを建築する際、土地がどのような地域に指定されているかによって、建物の構造に制限がかかることがあります。ここでは、防火地域・準防火地域の概要と、防火構造で建てられる建物の条件を整理します。

防火地域・準防火地域とは?

防火地域と準防火地域は、市街地における火災の危険を防止するために、都市計画法に基づいて指定される地域です。住宅が密集している地域や、消防車などの緊急車両の通行に支障が出やすい幹線道路沿いなどが対象となります。

これらの地域では、建物外壁の開口部のうち「延焼の恐れのある部分」に防火戸などの防火設備を設けることが義務付けられています。「延焼の恐れのある部分」とは、隣の建物や道路境界線から一定の距離内にある部分(※)のことで、火災時に隣家からの炎が届きやすい範囲を指します。

隣地境界線・道路中心線から1階部分は3m以内、2階以上の部分は5m以内の範囲

さらに、壁、柱、床などの建築物の部分や防火設備についても、防火地域・準防火地域の区分や建物の規模に応じた技術基準に適合させなければなりません。

防火構造で建てることが可能な建物の条件

防火地域・準防火地域では、建物の階数や延床面積に応じて必要な構造が異なります。防火構造で建てられる建物の条件を、地域ごとに表にまとめました。

地域 要件
防火地域 延床面積50㎡以下の平屋建ての付属建築物
準防火地域
  • 延床面積500㎡以下の平屋建てと2階建ての木造建築物

  • 延床面積500㎡以下の3階建ての建築物

一定の技術基準に適合する必要がある

防火地域には火災リスクが高い地域が指定されるため、多くの場合は耐火建築物もしくは準耐火建築物の建物にしなくてはなりません。ただし、延床面積50㎡以下かつ平屋建ての物置や車庫といった付属建築物については、例外的に防火構造を選択できます。
準防火地域については、要件を満たすことで防火構造の建物を建築することができます。防火構造のマイホームを建築するには、国土交通大臣が定めた構造方法もしくは認定を受けた仕様で施工しなくてはなりません。工法やノウハウを持つ住宅メーカーや不動産会社を選びましょう。

マイホーム建築前に知っておきたい!防火構造のメリットと注意点

防火構造は、耐火構造や準耐火構造に比べて規定が緩やかな分、コスト面や設計面でのメリットがあります。ただし、防火構造ならではの注意点もあるため、両面を理解したうえでマイホームを検討しましょう。

防火構造のメリット:建築コストと設計自由度

防火構造は、壁、柱や床など建物の主要部分にも高い性能を求められる耐火構造と比べると、建築コストを抑えられる傾向にあります。防火構造の要件を満たした塗料や石膏ボードなどの開発が進んでいることも、費用の抑制につながっています。

また、木造建築に取り入れやすいことも防火構造の大きなメリットです。ドアや窓などの設備には影響しないため、設計の自由度が高くなります。

防火構造の注意点:屋内からの出火に対する弱さ

防火構造は外部からのもらい火を防ぐための構造であり、建物内部からの出火に対する要件は設けられていません。そのため、防火構造だけを重視していると、屋内で発生した火災が短時間で周囲に燃え広がり、建物が倒壊してしまう恐れがあります。建物内部の火災リスクも考慮したい場合は、耐火構造や準耐火構造、あるいは省令準耐火構造の採用を検討してみましょう。

なお、木造建築に対応する耐火構造の仕様もありますが、専門的な知識と技術が必要なため、施工事例はまだ限られています。

まとめ:防火・耐火構造の特徴を理解して、適切な火災保険を選ぼう

防火構造は外部からのもらい火を防ぐための構造、耐火構造は建物そのものの倒壊を防ぐための構造であり、求められる性能に違いがあります。

また、火災保険ではこの構造の違いがM構造・T構造・H構造の判定に反映され、保険料に大きく影響します。まずは建築確認申請書や施工会社への問い合わせなどを通じて家の構造を正確に把握し、そのうえで必要な補償内容、保険金額を検討しましょう。

監修コメント

火災保険の保険料は、建物の構造級別によって大きく変わります。一般的な木造一戸建てはH構造に分類されますが、耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建物などに該当する場合はT構造となり、保険料を抑えられる可能性があります。

ただし、T構造で申告するには、申込み時に建築確認申請書や設計仕様書といった証明書類の提出が必要です。中古住宅の場合、売主がこれらの書類を保管していないケースもあります。施工を担当したハウスメーカーや工務店に問い合わせ、保険会社所定の確認書類へ記入・押印してもらうことで対応できる場合もありますが、時間や手間がかかることが少なくありません。スムーズに手続きを進めるためにも、新築・中古を問わず、構造に関する書類は早めに確認・整理しておくことをおすすめします。

監修者プロフィール


荒木 和音

荒木 和音(あらき かずね)

金融分野専門ライター。早稲田大学卒業後、生命保険・損害保険を取り扱う保険代理店にて、家計相談や企業向けのリスクコンサルティングなどを計10年以上経験し独立。大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績を持つ。専門性の高いテーマでも、読者の理解を促す構成と語り口にこだわった記事制作を得意としている。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。

よくあるご質問

被害にあわれた場合のご連絡先

通話料無料

年中無休、24時間365日ご連絡を受付けております。

IP電話をご利用の方で上記無料通話回線が繋がらない場合、海外からおかけになる場合は、お手数ですが以下の電話番号におかけください。

050-3786-1024(有料電話)

お電話をいただく際は、おかけ間違いのないよう、十分ご注意ください。

LINEでもご連絡いただけます

事故トラブル時は、LINEを使って入力フォームまたはお電話でご連絡いただけます。

当社からの回答は平日9時~17時30分となります。

関連情報

詳しい
保険料シミュレーション

賃貸物件や契約者が法人である場合などはお申込みいただけません。あらかじめご了承ください。

ご契約者の方へ

被害にあわれた場合の
ご連絡先

通話料無料 24時間365日受付

050-3786-1024(有料電話)

IP電話などで繋がらない場合、海外からおかけになる場合